農業経営学の世界において、家族経営の優位性として語られるのは、「質の高い労働力」である。
「質の高い労働力」とは、「当事者意識をもった労働力」であるらしい。
しかし、この定説に、家族の絆の名のもとに「質の高い労働力」を搾取する構図を見出してしまったとき、私は絶望した。
だって、「質の高い労働力」とは、当事者意識(生活がかかっているが)ゆえに辞めない(反乱を起こさない)し、真剣に働く労働力だからである。
文句を垂れても生活はできないし、辞めてしまえば、職も生活の場も失ってしまうことになるのだ。
さらに、辞めないから作業に関しては熟練する。
だから、経営主は都合よく労働力を使う。
ブラック企業だ。
この、「質の高い労働力」として、利用されてきたのは、たいていの場合、農家の女性である。
おそらく、長い間、日本の家族経営はこのようにして、経営されてきたのであろう。
もしかしたら、「会社は大きな家族である」といわれ、更に男が一家を養うという、男性稼ぎ主モデルの日本の会社社会が長い間そうだったのかもしれない。
しかし、非効率的だとは思わないだろうか。
構成員一人一人の能力を最大限に引き出すべきなのではないだろうか。
実際に、妻が自身のキャリアを活かして、営業担当を務めるいくつかの家族経営は、ブランディングに成功している。
社会関係資本が重要視される昨今、構成員の社会関係資本を最大限利用すべきなのではないだろうか。
今までのように、「家の中に閉じ込めておく嫁」というのは、経営にとって良くないはずである。
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